棒線上の独り言

書きたいことを書きます

東京大学大学院工学系研究科を退学します

東京大学大学院工学系研究科を退学します。転職先はGAFAではありません。

 

最近退職エントリというのが流行っているらしいので、流行に乗って何かを書き残そうと思い書くことにしました。 理系B4の人には役に立つかもしれないです。

 

自己紹介

2015年度に東大に入って工学部に進み、化学・生命系を専攻しました。

2019年度に東京大学大学院工学系研究科に進み、同じ研究室に所属してました。

要は典型的な理系大学生、大学院生だったと思ってくださればいいかと。4+2年で専門分野を学びエンジニアへと進むのが既定路線なアレです。自分でも卒研のための研究室配属らへんまではそのつもりでいましたし。

なんですけど、2019年3月からの2020就活に参加し内定をもらい、現在院は休学中です。2020年3月には退学し、4月から社会人になる予定です。

なぜ辞めるのか

先に断っておくと、ブラック研究室で病んだからとか研究が詰んで卒業無理になったとかではありません。所属していた学科も研究室も悪いものではなかったですし、良いテーマを与えられていたのもあって卒業もしたければ普通にできたと思います。

ただ自分の場合、そもそも研究活動というものにモチベーション面で適正がないなとB4の秋ごろに卒研で悟ってしまい、これを今後修士、そして仕事として続けてもあまり面白くないだろうなと思い辞めることにしました。B3まででやってきた勉強はすごい好きだったんですが、研究とは全然違いましたね。

ただまぁこれだけなら「じゃあ修士までは粘って出て異業種に就職すればよかったのでは?」となりますし、実際世の中そうしてる人はたくさんいると思います。そういう体験記は他の人に任せるとして、自分は「なぜ修士を出なかったのか」「その場合どういうことをすることになるのか」というのを書こうと思います。

何故院に進学した上で卒業しないのか

院を卒業しないことにした理由としては、自分が想定したキャリアパス修士号が必要でなかったからです。コンサルとか行くのであれば修士号も資格の一つとして使えるので出る価値があったでしょうが、自分がやりたいと思った仕事(出版やゲームといったエンタメ系です)は学士卒で普通に入れる世界だったので、修士号取得に余計な時間を費やすより既卒就活して早く就職する方が得だと考えました。目先のお金の話でも1年早く稼ぎが発生しますし、勉強の意味でも研究活動より会社入る方がこの場合ダイレクトに役立ちますしね。

また、中退するのにわざわざ院に入ったのは自分のためだったり他人のためだったりです。既卒就活が無理ゲーだった場合の保険をかけておきたいというアカデミアを舐めた理由もありましたが、せっかく院試受かったのだから行っておけという周りの意見、自分の研究プロジェクトが自分以外に分かる人が研究室におらず、引継ぎとしての需要があったという噛み合いもあっての選択でした。

あとこれは結果論ですが、院に進んだおかげで履歴書に空白期間を作らずに社会に出られるようになりました。今後転職とかをしたときの見栄えを60万くらいかけて買ったと思えば無駄ではなかったのかなとも思います。いや正直高いわ。

 

以上の理由により、卒論書いて大学を卒業し院に進みながらB4三月~六月にかけて就活をしました(あと12月~2月にかけていくつかインターンに行きました)。こっから先は体験談です。

やってみてどうだったか

1.既卒就活でもなんとかなるのか

就活をやるにあたって一番不安だったのは、既卒でも本当に内定が取れるのかでした。最近では第二新卒だのいろんな言葉も出るくらいだし、あんまりな言い方ですが学歴という看板は良いものを掲げさせてもらえてるし何とかなるとは思いつつ、周囲に既卒で就活した例を全然知らなかったので正直博打でした。

なので、最初にインターンで業界研究しつつ世の中が自分の経歴を受け入れてくれるかを探りつつ就活先を決めようと冬インターンに行きました。結果としては通過率は5/7と何とかなりました。通過先も中小ばかりでなく講談社KONAMIといった大御所でも受け入れてくれ、行った先で人事の方と話しても「良くも悪くも経歴は重視しない、持ってるスキルやポテンシャルがあればいい」という返事ばかりでしたので、これはいけるやつだなと就活本番でも大手中心の強気リストでいくことにしました。失敗しても院でもう一年過ごして新卒カード手に入れれば良かったですし、そもそも研究しながらだったのでそんなに受けまくれなかったのもあります。

そんなわけで出版2社、ゲーム系8社にエントリーかましたのですが、最終的には4社から内定を頂け就活本番もなんとかなりました。全ての業界でそうとは言えませんが、少なくとも私が見た業界は既卒でもなんとかなります。

2.M1就活でもなんとかなるのか

もう一つ不安だったのは、世の人が就活をしてないときに就活してキャパらないかでした。インターンは卒論に被るし就活は大学院新生活に被るし。ついでに家庭内の事情でそっちからもやたらタスクが飛んで来たり。4月上旬に一つ目の内定が出て中退確定し大学院の授業を切れただけマシだったのですが、まぁ正直地獄でしたね。あんまりなんとかなりませんでした。

5月くらいまでは何とか走れてて、就活も研究もその引継ぎも回っていたんですが5月後半くらいからまず自分の研究にメンタル的にガタがきて、6月くらいから研究室生活そのものにガタが入り始めました。幸いなことに就活がそれくらいのタイミングで終わり速攻で休養モードに入れたり、5月までの引継ぎで何とか自分抜きでも回らなくもないとこまで進められたりで致命的な迷惑や後に引く不調は残さずに済みましたが、研究と就活の両立はおススメしません。もし自分のようなことを実行するのであれば最初から就活中はそれ以外のタスク全停止できるよう、予めラボ内での身辺整理をしてから始める方が良いでしょう(まぁ自分の場合は後輩指導の都合上不可能でしたが)。

終わりに

大学院というのは、それなりに過酷な場所です。先輩を見ててもちょいちょい病んでる人はいますし、定期的に院生が失踪したみたいな話も聞きます。そのわりに(特にうちの大学では)理系の殆どの人はとりあえず修士は取るみたいな既定路線が敷かれ、実際に研究を始めてから後悔してる人は自分以外にもいると思います(何が悪いって卒業研究始まってる頃には新卒就活終わってるのが悪い)。

そういう時には自分のように大学院から逃げる道もあるよ、と思いこの記事を書きました。最後に、もしこの記事のように大学院を休学や退学する際のアドバイスを書いておきます。

早めに周囲に相談する(特に親と指導教員)

実際に中退するとなったら、まぁ今かけてもらってる学費はパーだし今やってる研究もグッバイになります。引継ぎとかでダメコンできるとはいえ戦力が消えるわけですし、どう足掻いても研究室に迷惑は掛かります。就活だって楽なものではないです。

なので、やるとなったら早期に周囲に相談して理解を得ましょう。親からの理解があればかなり精神面で楽になりますし、研究室へも早期に進路を提示できれば引継ぎなどの方法は考えてくれます。

指導教員相手に「逃げます」と宣言するのは少々きついなぁというのはありますが、多分研究室からしてみたら事前に宣言して消えてくれるだけ相当助かると思います。少なくとも自分の場合は「ここまで進めてくれれば何とかなる」「これは君しか分からないから、最低限ここだけでも引き継いでからやめてくれれば大丈夫」など提案してもらえ、突然つぶれるよりはるかに丸くやめることが出来ました。

つぶれる前に対処しようとしてるだけとても素晴らしいのでさっさと相談して味方を付けて円満退学しましょう。

 

そんなこんなで、来年から社会に逃げ込みます。多分ゲームプロデュースとかやります。今後ともよろしく。